スターウォーズ8

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スターウォーズ8を観た。とある事情で。
…うぁぁ、やっぱつまんないよぉぉぉ。
(最終的にはこのつまらなさが凄いのだ、という結論になる)

スターウォーズシリーズは7以外は全シリーズ一応教養のために昔チェックしたことがあるけど、面白いと思ったことが1ミリもなかった。
なんでこんなつまんないのにヒットしてるのかは、70年代アメリカの暗黒期にハリウッド映画も暗黒期に突入し、暗くて難解なものばかりで売れず、もう一気に偏差値下げてバカにもわかる大衆映画作ろうと登場したのがスターウォーズで、この作品がハリウッド映画を救った、という話を聞き、納得した。
評論的には、日本のガンダムがそうだけど、リアル歴史ブームから架空歴史ブームが起き、架空年代記としての作品の欲望をうまくすくい取ったのがハリウッドでいうとスターウォーズだった、だから架空歴史というジャンルが必要だっただけで、中身はスカスカでもよいという割り切りでここまでヒットしたスターウォーズは凄いとも言える。

そんな中身が空っぽのスターウォーズを、ディズニーが買収してできたエピソード7は、アナ雪の快進撃でわかるよう、女性活躍、マイノリティ活躍、リベラルのアップデート、だからある程度面白いというのは、見てなくてもなんとなくわかる。

で、エピソード8。
同じく女性やマイノリティの活躍、リベラル奮闘、それはわかった、でも、ストーリーがメッチャクチャで、頭に入ってこない。
何でもかんでもマイノリティ活躍させればいいわけじゃねーだろと。
映画館で初めて、危うく寝そうになった。というか、2分くらい記憶がない。
スターウォーズ好きな人向けなのかもしれないけど、スターウォーズシリーズ知らない人にもある程度面白くないとダメだよ。
スパイダーマン好きじゃないけどスパイダーマンホームカミングはある程度面白かったもん。
…というか、スターウォーズに面白さを求めてはいけないよね、という最初の話に戻るのか。
でもディズニーだから期待したんだけど。

というところで、各所感想を聞いて回ってたところ、昨日宇野さんのスターウォーズ8評論があったので、聞いてみて、鳥肌が立った。
やっぱ神だわこの人。視点が凄い。
以下、神評論ダイジェスト。

・8はクソつまらない。が、もともとスターウォーズは映像とアクションだけが凄い作品で、むしろ二次創作的欲望を駆り立てる点で凄かっただけで、作品そのものはつまらない。7だけが例外的に面白かっただけ。
多文化主義リベラル、民主主義を唱えているスカイウォーカー一族がエリーティズム、封建主義、血族主義でできているという矛盾を孕んでいる。リベラルなのに封建主義、というのは矛盾しており成立しない。
・話としても、スカイウォーカーの家族の話にしたいのか、サブキャラのマイノリティ活躍の話にしたいのか、視点がゴッチャになってグダグダ。だからつまらない。

で、ここまではスターウォーズという虚構の評論にすぎないが、ここから神評論に突入。

スターウォーズ多文化主義リベラルの実現がグダグダになっているのは、スターウォーズという虚構の話だけにとどまらない。これは、現実もそうなっているからだ。アメリカ戦後中流という、正社員と専業主婦で構成される移民排除のシステムをリベラルにしようと移民の受け入れ、多文化主義を唱えた瞬間、トランプが生まれヘイトスピーカーネトウヨが発狂するというアレルギー反応が発症する現実そのものだ。つまり、現実のグダグダを引き受けたからスターウォーズもグダグダになっている。
スターウォーズがつまらない、というのは、笑えない問題。第三世界と女性を搾取することでしか、戦後中流的なリベラルは維持できない、というリベラルの限界を証明してしまっているからだ。
・ディズニーが多文化主義リベラルをテーマにするのは、世界中に作品を売らなければいけないというグローバルコンテンツであるが故の商業的要請

ということで、つまらないということはスターウォーズが元々そうだ、という笑い話を超えて、現実が多文化主義リベラルに挫折している現状を露呈してしまっているという絶望的な話なのでした。