ビフォア・サンセットの感想

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ビフォア・サンセットを観ました。

ネタバレしますので悪しからず。

 

■あらすじ

ビフォア・サンライズのその後を描いたもの。

 

■感想

ビフォア・サンライズの、男女二人の再会の約束をしてから9年後の世界を描いていますが、配役も実際そのまま本人を使っているので、前作のリアルドキュメンタリーを撮るというコンセプトが続いています。

序盤、主人公が自叙伝と称し、前作の体験を小説化してヒットしているという設定です。

「人間は自分のフィルターを通して世界を見る」「人生は瞬間の積み重ね」「他人にとってはドラマ性がない平凡な人生でも自分の物語は感動に満ちている」と語るあたり、映画=他人の物語を描写するもの、という前提を捨て、自分の物語として描写できたら面白いのではないか、という意欲を感じます。

前作から二人は様々なテーマについて語り合っていましたが、今回も道を歩きながら、カフェでお茶をしながら、政治、環境問題、宗教、欲望の問題について語ります。

「人間の性格は変わらない」「人間は永遠には生きられない」「何が楽しくてなにが重要か、毎日が最後」など、前作に続き哲学めいたセリフが飛び交います。

一言でいうと、「過去は変えられないから今を生きろ」なのですが、これも、結論というよりは二人の会話のやりとりそのものを楽しむ、プロセスが重要です。

「結論を言ったらオジャン」というセリフがありますが、それも本作のテーマです。

そして、知的な会話劇から感じる、分かり合えるが2人は絶対にうまくいかないという運命的な匂いを醸し出すあたりも、上手だなと思います。

 

基本的には前作を楽しめた人は本作も楽しめるのではないでしょうか。